こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

ミシマ

映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』を
観てきました。

中学のときに読み耽った「豊饒の海」を書いた人と
いわゆる三島事件の絵柄とが
何年たっても自分の中でうまくリンクしなかったのが、
この映画を観てようやくちょっと重なった気がします。
彼が日本という国の伝統と文化を愛し、
時代の流れを憂えていたのは確かで、
井浦新演じる三島が自分を慕う学生に向かって、

「美しいのはだね、君たちの純粋無垢な心だよ」

と言ったときの表情こそ
なんて美しいんだろうって思ったけど、
反面、あの聡い人に
自分が起こそうとしているクーデターの末路が
見えていなかったとは考えづらくって。
妻(寺島しのぶ)が言う「彼らしい人生の幕引き」というか、
散り場所を探してたどりついたのが
あの総監室だったんじゃないのかな、
とか思ったりもしました。

東大の学生と三島のディベート場面、
特に司会の学生役の人がリアルすぎ!て
自分がその場に野次馬してるような錯覚を覚えました。

そして、ラストでアップになる
ある人物の両手の「途方にくれてる感」が圧倒的。

三島があの手に残してあげたものは、
というか「残してしまったもの」は、
なんだったんだろうか。