こまりさんの、はらぺこ手帖

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

もののけナイト

いや〜今日も寒かったですねえ。
震えながら三軒茶屋までいってきました。
世田谷パブリックシアターにて、
演劇企画集団 THE・ガジラの
『新・雨月物語』を観てきたです。

怖かった。
というかきれいだったなあ。
いや汚かったのかな…
やっぱ怖かったな。


雨月物語」は上田秋成の怪異小説。
9つの短編からできてるんですが、そのなかから
「浅茅が宿」(都から帰った男が死んだ奥さんと再会する話)と
「蛇性の婬」(美人に化けた蛇にとりつかれちゃう話)
をミックスして、
こんな感じの話になってます。


ときは天正15(1587)年。
太閤検地のさなか、山中で貧窮にあえいでいた
陶工の熊野源十郎(山本亨)は、
野心家の義理の弟・藤兵衛(北村有起哉)の
「里におりて一旗あげよう」という言葉に決心し、
病弱な妻・宮木(月影瞳)をひとり残して家をでます。
里におりるために通る大蛇山(おろちやま)。
大雪をさけて行者堂に身を寄せた
彼らの耳に聞こえてきた大音響の蝉時雨。
やがて彼らの前に現れたのは…。


鐘下辰男さんの演出っていつもそうらしいんですが、
客電がついているあいだに
いつの間にかお芝居が始まってるんですよ。
静かに静かに、台詞もなく。
「はじまるぞ」とかいう境目がないまま
自然にお芝居の世界観の中にひきこまれてしまいます。
ちょっと足をひきずった山本さんが
言葉少なに旅人にお膳を運ぶ。
お膳に乗せた碗のなかには、
曼珠沙華の根っこの煮物(なのか)…
もうほんとに怖い、そっから!
底辺をはいずりまわるようにして命をつなぐ人々の
凄惨な暮らし。そのなかに
もしかしたら道がひらけるかも、というわずかな希望とか
伴侶を想う一途な気持ちとか
そういう光が見え隠れもするのだが、
結局は悪夢のような場面がエンドレスに繰り返されたあげく
絶望的なラストにたどりつきます。
だけどなぜか、
一種独特な恍惚感もあったりしてね。
いけないものに惹かれてしまう、いけない生き物。
それがニンゲンなのか。


終わったあとにトークショーがあって
鐘下さんご本人が登場されたんですが、
いや、まさに一度おみかけしたら忘れられない風貌です。
髪が長くてすっごいいっぱいあってふわふわ。
妙に足が細い。座り方が妙。
で、喋るときになぜか自分のマイクじゃなくて
隣の北村有起哉くんのマイクを使う。



有起哉くん、今日殺されちゃうとき
またホボフンイチ(ほぼ、褌いっちょ)だった。
なんというか、いつも美しい人だね。
ちょっと悪い人の顔だし、体ぐにゃぐにゃだけど。