こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

Baked Hotel

ダンスのステージを観て
うわあって思うと、
お稽古に行きたくてたまらなくなる。
おこがましくも、もっと踊れるようになりたくなる。

3人舞台『Baked Hotel』、堪能してまいりました。
 

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かつてバナナベイクドケーキが名物だった老舗のホテル。
そのホテルを必死で切り盛りする若い日系人ロドリゲス(吉本真悟)、
宿泊客で、中華圏から世界へ飛び出したアイドル、 ヤン(蔡暁強)、
そして、ちょっと陰のある謎の男ラッキーと
その他の重要な役すべて(大野幸人)。
 
さまざまなシーンを笑いを交えて描きながら、
クライマックスではそれぞれが
それぞれの立場で「生きる辛さ」に向き合って、
でも最後にはまた笑顔いっぱいなエンディングに至る
爽やかで、温かいストーリーでした。

ロドリゲスは徹底的に巻き込まれキャラで
終始あわあわして大汗をかいてるんだけど
ホテルとお客様をだいじにする誠実さにブレがなく、
笑顔の可愛いヤンはとても繊細で、背負ってる巨大な荷物に
いまにも押しつぶされてしまうそうなあやうさがあって、
そしていちばんダークサイドを知っているであろうラッキーの
ともだちを思う気持ちはとてもピュアで、
彼の押し殺したジレンマが爆発するソロダンスには
涙が止まらなくなった。

たまたま同じ場所に居合わせたともいえる3人が
お互いのことを思いやって一所懸命になる姿に
観ている側の気持ちも引っ張られて、
物語が終わるときには「Baked Hotel」という架空の場所が
とても愛しく思えていました。

スーツケースというアイテムの使い方も見事。

客席は、小さなスクエアに切ったステージの
3方向を囲むように組まれています。
あまりにも近くて緊張もするけど、
いまの彼らのダンスを、あの距離感で見ることができて
観客はとても幸せだと思う。

それにしても、大野さんの八面六臂…
作って、振付して、演出して、たぶん絵とかもいっぱい描いて、
次から次へと衣裳を変えて。
ラッキーや、素敵なおばあちゃんガブリエラはもちろん
サラリーマン加藤やヤクザなマネージャーもツボだったし、
とりあえず金髪美女ブレンダは
今後の作品にも必ず出てきてほしいです。