こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

錦糸町

大学四年の秋、
両国でバイトしました。
 
九月場所の15日間、
国技館の地下にある調理場で、
職人さんが焼いた焼き鳥をその場で
お土産用の箱に詰める作業。
 
バイト初日、
常連バイトのおばはんたちの
すさまじいイビリに合い、
翌日出勤してみたら
学生は半分に減っていました。
その翌日には、さらに半分。
 
同じ持ち場のもうひとりのバイトの子と
意地でも最後まで続けようと誓い合い、
毎日震え上がりながら
出勤しているうち
だんだん作業にも慣れてきます。
で、ようやく怒られる回数も
減ってきたなというころに
千秋楽になってしまったのですが、
最後のかたづけをしていたら
いちばん怖かったおばはんが
もじもじしながら近づいてきて、
 
「若い人はさー、
 なにがいいかとかわかんないからさ、
 娘に選んでもらったんだけどさ」
 
ふたりともお疲れさま、って
ハンカチをプレゼントしてくれたから、
ロッカールームに座り込んで
しばらく号泣した
 
…っていう
青春の思い出が詰まった
両国国技館で、
今日は、渋谷すばるの歌を聴いてきました。
 
一曲目、RCサクセションの
「スローバラード」のカバーから
これが最後の曲かっていうくらいの
テンションと声量のまま
歌いに歌った2時間。
 
その勢いにあてられて、
ライブが終わったあと、
ステージにはもう誰もいないのに
会場に流れる追い出し曲
ブルーハーツの「トレイントレイン」を
歴代の横綱たちの写真に見守られながら
客席が熱唱。
警備員さんはそれを聴いて淡々と拍手。
 
いつ帰ればいいんだ(笑)。
 
すばるくんの歌には、
くさい言い方になるかもしれないけどやっぱり
魂がこもっていて、
ひとつひとつの音、ひとつひとつの言葉が
聴き手にはっきり届くのです。
 
まりやさんの「元気を出して」は
いままで数え切れないほどきいてきたはずなのに
 
人生はあなたが思うほど悪くない
 
の一節が
こんなに響いたのは初めてで。
 
元気を出しすぎて
錦糸町まで歩いたら
さすがに遠くて終電ぎりぎりだよ!