こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

新しいローマの休日

銀河劇場で舞台『ローマの休日』再演、観ました。
とてもよかった。
あまりに胸にしみたので、運河を眺めながら乾杯中。
ビールを売ってるコンビニを探そうと思って
ホテルの人に話しかけたとき、
 
「お尋ねしたいのですが、
 このあたりにコンビニはあるのでしょうか」
 
って、中途半端にアーニャな言葉遣いになったった(笑)。
 

 
たった3人のキャスト(とたった1人の声)で構築する
あの『ローマの休日』の世界です。
映画ファンの喜ぶ名場面の再現にもまじめに取り組みながら、
人物たちそれぞれの心の痛みを深く掘り下げた加筆脚本がみごとです。
 
なにより、ジョーとアーヴィングが
なぜアメリカを離れ、ローマで新聞の仕事をしているのか、
そのバックグラウンドに「レッド・パージ」を置いたことによって
ロマンチックな異国のおとぎ話は一瞬にして
ある「アメリカの過ち」の色を帯びます。
それが、二人の信頼関係を強く裏付けながら、
映画では明かされることのなかった
祈りの壁でアンが祈った「願い」につながって、
最後まで大きく観客の心を動かしていく。
 
秋元才加ちゃんのアンは無邪気で多感、
小倉久寛さんのアーヴィングは軽妙で優しく、
吉田栄作さんのジョーは陰のある、
やさぐれようとしてやさぐれきれない、繊細な男の色気がぐっときました。
 
ジョーが最後に「友を裏切らない男」であろうとしたことは
王女としてのアンにとっては「人を信じることへの自信」、
少女としてのアンにとっては「なににも代え難い初恋の記憶」になって、
そのふたつに支えられて彼女はこれから
小さくても健やかな国をつくることに
自分の人生を賭けていくのだろうな、って思えるラストシーンでした。
 
 
追記。
声の出演、川下大洋さん大活躍。
とくに最後の会見の場面で、
ひとりで世界各国の記者を演じ分けてて超ワロス…!