こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

どうしてなの


急いでいるときに限って、
あがり時間ぎりぎりに飛び込むイレギュラーな作業。
急いでいるときに限って、
時間調整でたびたび止まる地下鉄。


立ちはだかるそんな「あるある」を蹴散らして、
7時開演の京橋にある劇場へ猛ダッシュ!


エレベーターにかけこんで
バッグのポケットに入れておいたチケットを取り出したら、







昨 日 じ ゃ ん こ れ






チケットの日にち間違いに気づくのは、
たいてい、その日が過ぎてから。


…10年ぶりくらいにやってしまった「チケットあるある」。




けど、開演まであと2分。
どうしても観たい。ショック受けてる場合じゃない。
思い切って当日券を購入し、
客席へすべりこんだとたんに客電が落ちました。






舞台『ビューティフル・サンデイ』。
作=中谷まゆみ、演出=板垣恭一。



ある日曜の朝、明彦(葛山信吾)が目覚めると、
隣で眠っていた下着姿の知らない女。
ちひろ(瀬奈じゅん)と名乗るその女は、
以前、この部屋の持ち主だったという。
やけにアグレッシブなちひろのペースに巻き込まれるうち、
明彦の同居人、浩樹(桐山照史)が帰ってきて…。


アパートの一室の、朝から晩までのたった1日を
3人の登場人物だけで綴った、
おおいに笑えてちょっと淋しくて、
最後はホッと胸が温かくなる物語。
3人だけでなく、
実際には出てこない彼らの周りの人々の姿もみえてくるような
素敵な作品でした。




瀬奈くん演じるちひろのはじけっぷりが軽やかで
どんだけ腹が痛かったか。
ユーミンの「Destiny」は今後もう笑いなしでは聴けない。
言うことやることがハチャメチャな一方で
ほんの小さなひとことに傷つく繊細さや、
明彦や浩樹を気づかう自然な優しさが表情に出ていて、
こういうお芝居をする瀬奈くんを
もっと小さな劇場で観てみたいなと思ったです。


明彦が、ちひろにふりまわされて
目も頭もくるくるまわってる様がカワイイ!
でも、ふりまわされているようでいて、実は
3人のなかではいちばん心幹がしっかりしていて、
考えの一番だいじな部分が揺らがないところは頼もしい。
葛山さんは、まじめで心優しい明彦にぴったり。
ぴったりというか、葛山さんが演じたから
ああいう持ち味にになったのかなという気もします。


それをいうと、浩樹がアパートに帰ってきたとき
部屋の中がワントーン明るくなった感じがしたのは、
桐山くんの持ち味なのかも。
サーモンピンクのカットソーと、
レインボーのポイントが入った黒いバッグがオシャレな浩樹。
明るければ明るいだけ隠し持った影もある青年を
まっすぐな目で演じた桐山くんは、
ぶっとい手と足でふんばってる柴犬の子犬みたいだなあと
常々思っているのですが、
柳沢慎吾さんにとっても似ているなあと
これも常々思っていて、
今回、気持ちが高ぶって声が高くなると
ああやっぱり骨格が似ている人は声も似るんだと納得しました。




それと、舞台下手袖で演奏していた
女性ミュージシャンがクール!
ピアノとパーカッションを4つも5つもひとりで操るのです。
イスの下がドラムになってて、
体を傾けて、それを右手で叩きながら
左手で両手分のピアノをひきはじめたのにはブッとんだ!