こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

ガンバッテッコー


クリント・イーストウッド監督の
映画『インビクタス−負けざる者たち−』を
観てきましたよ。


「国家反逆罪」の名目で30年近く投獄されていた
ネルソン・マンデラモーガン・フリーマン)が
南アフリカ共和国の大統領に就任したのは1994年。
アパルトヘイト政策が続いて
白と黒に二分されていた南アフリカに
ようやく、新しい夜明けがやってきます。


折りしも、翌年1995年のラグビーのワールドカップは
南アフリカが開催地。
世界に「新しい南ア」を披露する絶好の機会なのですが、
ナショナルチームスプリングボクス」はスランプ状態。
負けが込んで「国の恥」とまで言われています。


ラグビーはそれまで主に白人のスポーツで
アパルトヘイト象徴でもあったから、
これを機会にチーム名もメンバーも一新しよう。
当然、そういう風潮になるわけですが、
マンデラさんはこれに、きっぱりとノーを出します。


政権がかわったからといって、
それ以前まで「敵」だった白人が大事にしていたものを
力で変えようとしてはいけない。
無意味な復讐に力を費やすときではない、
みんなで心をひとつにして、新しい南アフリカを作ろう、つって。


チームのキャプテンだったフランソワ(マット・デイモン)と、
マンデラさんの30年の牢獄生活を支えた
イギリスの詩人、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの


―――どんなにつらいときでも、自分の運命を決めるのは自分である


と語りかける、
「Invictus」(ラテン語で、征服されない、という意味)という詩の志を
分かち合ったマンデラさん。
フランソワはこの衝撃をまっすぐに受け止めて、
打ちひしがれてばらばらになりそうだったチームを
ぐんぐん強くしていきます。

マンデラさんを支えたのが、
敵を知るために積極的に学んだイギリスの詩人の作品だった、
てとこが、既に、なにかを語ってるんだよね。


映画的な演出はもちろんあると思うけど、実話。
そもそも「サクセスストーリー」の看板が出てるわけだから
南アが勝つに決まってるのに
試合の場面ではめっちゃ手に汗かいたし、
しかも、ちょっと泣けた。


印象に残ったのは、
やっぱクリント好きだなあということと、
マット・デイモンをはじめて「かっこいい」と思えたことと、
黒人女性陣が美人ぞろいであったことと、
フランソワの家族の善良な小市民っぷりと、
そんなんで人を守れるのかとつっこみたくなるくらい
お人よしの集団だったかわいいSPチームの面々と、
決勝でキックを決めた選手(の役者さん)の目が
吸い込まれそうな緑色できれいだったこと。


あと、決勝の対戦相手、
ニュージーランドのナショナルチーム
オールブラックスの名物、ハカの踊り。
士気を高めるため、そして相手チームを威嚇するために
マオリ族の戦士の民族舞踊「カマテ」を
試合開始前に選手全員で披露する名物なわけですけど。


前にも見た覚えはあるけど、あんなに空耳アワーだったっけ。

のっけから。


カエリッターイ
カエリッターイ


…帰りたいのかよ!
と思いきや、最終的には


ガンバッテーガンバッテッコー!
ガンバッテーガンバッテッコー!


…やっぱり頑張るんや。
いや、カマテっていってるんだよね。