こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

青山マジック

青山劇場で「CHESS in Concert」観劇。


劇場を出て、おともだちとお茶を飲んだあと、
しばらく魂が抜けていた…。



舞台は米ソ冷戦時代。
チェスのワールドチャンピオン大会で出会った男たち、女たちの
出会い、選択、別れ、それぞれの愛を描いた
大人のミュージカル。
音楽はABBAのベニーとビョルンだけど
同じ「マンマ・ミーア!」のポップな雰囲気とは
またぜんぜん違うピボットの置き方で。
二村さんの、色味を抑えた装置が
衣裳ととっても合っています。


アメリカのチャンピオン=フレディ役の
中川晃教の歌が圧巻。
彼が歌うと、とても「和訳歌詞」とは思えない。
アッキーのあの独特な滑舌で、どうしてああまでも
言葉や気持ちが観客の胸に突き刺さるのか。
舞台の彼を、もっともっと観てみたい。


ソ連のチャンピオン=アナトリー役の
石井一孝、新境地。
まっすぐで大きなキャパを持つ歌声に、
ああ、この人ならどうしてもその道を選ぶだろうなって
アナトリーの選択がすんなり納得できた。
カズさんは、ラテンだけの人じゃなかった。


フレディのセコンド=フローレンス・安蘭けいと、
アナトリーの妻=スヴェトラーナ・Akane Liv、
おふたりの、ぜんぜん違う声質が重なった瞬間の衝撃。
いい女対決のナンバーの前奏が
いかにもABBAな楽器づかいで嬉しかったです。


アービター=審判員・浦井健治。
歌声がますます端正に。
健ちゃん、とても三十路には見えないね…。
ザ・高見沢俊彦な衣裳がとても似合ってました。


で、特筆すべきは。


チェスの精・大野幸人。


彼が、前の「居場所」で踊っているのを最後にみたのが
8年くらい前、青山劇場の舞台でした。
同じステージで、モノトーンのコケティッシュな衣裳に身を包んで
アービターの一部のように、
というか、人ならぬものとして神出鬼没、
指先ひとつで登場人物を動かし、
オケをバックにソロを踊り。


トンボを切る、幸人くん。


美しかった。




夢 の よ う だ 。




ダンスって、いいなあ。