こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

今は、まだ早い

出勤2日目。
また揺れてるかも、と思うたびに、
自分の三半規管と肝っ玉の軟弱さにイラつきつつ、
仕事のできる幸せも意識するようにしています。


いくつかの仕事を兼業していますが、
ジャンル分けすればどれも「エンターテインメント」業界で、
地震当日も、週明けからの出勤も携わっているのは
興行の実施とチケット販売に直接つながっている部分。


被災地で予定されていた公演、
被災地の方が購入されていたチケットを最優先として
当面の対応にあたっています。


どこからどこまでが被災地なのか、
決して「県」単位で括れるはずがないなか、
まずはそこからしか手をつけられない作業の矛盾に
もどかしさを感じています。


中止になった公演がたくさんあります。
被災地で予定されていたものはもちろん、
関東以西の劇場の公演も多数。
4月、5月の公演のいくつかも、すでに中止が決まりました。


show must go on


いったんあけた幕を降ろすな。


これは、ショービズすべてに共通する奥深い言葉です。


けれども、
各地で余震が続き、
いまだ行方のわからない方が万単位でリストアップされ、
さらに福島の原発で命がけでの対応が進んでいるなか、
被災度は低くても、交通の混乱の著しい関東、その東京の中心地で、
大勢の観客の移動電力の消費を伴う舞台の幕を
あけるべきなのか、どうか。


停滞は、次の停滞を生みます。
流れを止めてはいけない。
いま、日本全国でむやみにすべてを自粛すれば
必要な人力や資金、資源の流れまでが止まってしまう。
だから、いつもの生活のできるエリアでは
いつも以上に「経済をまわす」べきかもしれないです。


エンターテインメントも、
衣食住の範疇を出た「イレギュラー」のパワーになる。
私も、その力を信じているからこそ
この業界にしがみついて働きたいと願っている人間です。


ただ、


だからこそいま!


という声もあがっているのを聞くと、
それは地域と催しの規模と方向性によるだろう、
すべての催しには当てはまらないだろう、と思うのです。


日本の戦後の復興を支えた美空ひばりにしても、
9.11の直後、いち早く幕を開けて人々を励ましたブロードウェイにしても、
被災地、もしくは被災地に近い場所で
エンターテインメントが力を発揮できたのは、
どちらも「復興」時期に入ってからの話です。


もちろん、東海以西ではいつも以上に盛り上げて、
力になってもらいたい。


でも、関東ではまだ早い。


私個人としては、
しばらくのあいだ、関東以北の舞台は、
中止にすべきだと思っています。


だって、やっているとなったら
観たいと思う人がいるはずだもの。
危なくても。
周りの誰かを心配させても観たいと思う、
自分を守るすべを持たない若い観客が。



中止にしてほしいと思っているわけでは決してありません。


この取るに足らない文章の断片を
はずみから目にされて
煩わしい思いをなさる方もあるかもしれません。
ごめんなさい。


私自身、この考えが正しいとも決して思ってはいませんし、
書いたことを後になって悔やむかもしれませんが、
忘れないため、書き留めました。