こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

いずれもさまに

ここぞとばかり映画を観ております。


○ゾディアック


60年代末から70年代にかけて
アメリカ西海岸で起きた謎の連続殺人事件。
ゾディアックと名乗る犯人は 新聞社と警察に声明文と暗号を送りつけ
自己顕示を繰り返しますが、結局事件は 現在も未解決のまま。
映画は、この事件に関わってしまったがために
人生を狂わされた男たちの側から描いています。
殺人事件だから人が殺されるのはわかっているのに、
その場面のあまりのあっけなさの怖いこと。
しかもつい笑ってしまう場面も多く、
そういうのんきな自分がまた怖かったり。
しかしいちばん怖かったのは、


「ああ、ロバート・ダウニーJr、
 こんどこそドラッグから立ち直ったんだなあ。
 しかもこんなに若返って。よかった。ほんとうによかった」


と思いながら目で追っていた役者が、
物語中盤まできてようやく
ジェイク・ギレンホールであることに気づいた瞬間でした。
これでも時分は本当にロビーファンなのかと小一時間…。


○ハリウッドランド


テレビのヒーロー、初代スーパーマン
ジョージ・リーブス(ベン・アフレック)の自殺の謎と、
その謎にとりつかれ深みにはまっていく
探偵のルイス(エイドリアン・ブロディ)。
ゾディアックとちょっと図式が似てるね。
もうこの世にいないジョージと、
その死を追えば追うほど実生活では孤独になっていく
ルイスの枯渇感が重なって、なんとも寂しい。
スターだろうと貧乏探偵だろうと、
なにを持っていようといまいと、
自分がそれに「満足」できない限り、決して幸せにはなれなんですよね。


○ボルベール<帰郷>


めっぽう気性が強く、でも人情にも厚い
ライムンダ(ペネロペ・クルス)の人生に
立て続けに起きる大事件。
大事件のうちのたったひとつだけでも
普通なら手に負えないほどの大きさなのに、
それを「で!だからなんなのさ!」的に受けて立つ
ライムンダは凛々しい。しかしほんとうは
彼女の心の中は、傷ついた少女のときのまま止まっているんですね。
でも、映画のラストシーンで
閉じる扉の向こうの彼女がみせた泣き笑いの表情で
ああもうこの人大丈夫だな、と思えるのは
まさにアルモドバル監督マジックなんですねえ。
登場人物たちにとっては、この映画の終わったとこから先が
またたいへんだとは思うんだけどね(笑)。
ペネロペの悪声は聞いてるとなんで癖になるのでしょうか。
そしてあいかわらずまっすぐな膝下に目が釘づけ。
そしてペネロペの娘役の女の子は、美人だけど
サッカーのロナウジーニョにそっくりです。


映画って、ほんとうにいいものですね。