カタワレ探し
新宿のライブスペース「FACE」で
ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を観ました。
キッチュな扮装に身を包んで
愛を叫ぶヘドウィグを演じるのは
山本耕史さん。
アングリーインチ(怒りの1インチ)とは
彼女の率いるバンドの名前であり、かつ
彼女がベルリンの壁の東側に住む青年ハンセルだった頃
米兵と「結婚」してアメリカへ渡るために
手術を受けたがこれがとんだ闇医者、
結果、体に残ってしまった「1インチ」のことでもあります。
耕史ヘドウィグは、ひとことでいうと
温かいヘドウィグでした。
この人、たぶん頭じゃなくて体で芝居する人なんだな。
あと、ちょっぴり面倒くさがりで、そして
ものすごいお人好しかもしれない。
3年前に日本初ヘドウィグを演じた三上博史さんの
哲学的で繊細でアーティスティックなヘドウィグもとても好きだったけど、
マッチョでコミカルで甘ったれで
母性愛にあふれた耕史ヘドウィグも
まちがいなくヘドウィグでした。
なにがすごいって、
全くアプローチの違うふたりのヘドウィグの帰着点が
寸分たがわぬ同じ「寂しさ」であったこと。
役者の力、プラスこの作品の力を感じたのでありました。
カタワレ探し。
自分のかけらを探すということ。
怖がってはいけませんね。
ヘドウィグを見習いたい。
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