こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

いい湯だな

明日の朝が閉め切りの原稿を書きながら、夜更け、というか夜明けまで迷っていたんですが、やっぱり行ってみようか浅草に。
そりゃもう見分不相応に贅沢なんだけれども、でもねえ、観ておきたいじゃないですか今年の浅草歌舞伎の千秋楽は。分別したつもりで我慢したら、絶対後悔するぞ、と思って当日券にチャレンジしました。あいにく昨夜は深夜作業、2時間ほど仮眠をとって、空が明るくなってから家を出ました。早朝の浅草、晴れてます。浅草公会堂に着くと列はほどよくできていました。並ぶ。寒いのを慮ってか、早いうちにその列をロビーのなかに入れてくださった公会堂のご配慮に感謝です。
10時、チケット販売開始。そして花道横の補助席ゲット。
こりゃ嬉しいじゃあねえか。と安心したとたん、どっと体力が低下…速攻体力温存しないとまずい!と考えて思いついたのが、浅草ROXの「まつり湯」です。

まつり湯は、浅草ROXの上にある大温泉施設。ホテルリゾートのような広大なロビーと下足室。チェックインしてロッカーキーとタオル・甚平セットを借り、奥へ。窓も大きくて明るいし、ものすごく綺麗です。歩きやすいと思ったら、スリッパというものがないのであった。じゅうたん敷きでお掃除も行き渡っているので、裸足で十分なんですね。朝11時から翌朝まで、何時間でも過ごせて入場料2300円(深夜料金別途加算)。お風呂だけでなく宴会室やマッサージ室、床屋さんまである。なんといってもありがたいのがうたたね室!暗くした広い部屋に、小さなパーテーションのついた簡易マットが並んでいて、ここで好きなだけ仮眠がとれるんです。地上の楽園!万一寝過ごしたら洒落にならないので、目覚ましをセットした携帯を握りしめて、いざ、おやすみなさい。ぐーぐー。

この仮眠は本当に効いて、憑き物が落ちたような(憑いていたのか?)軽い足どりで公会堂へ。泣いても笑ってもこれが最後の、今年の浅草歌舞伎です。右の袂から真っ赤な携帯電話、左の袂から買い物袋、そして懐からのど飴が飛び出す客室乗務員並みに懇切丁寧な亀治郎さんの「お年玉ご挨拶」に始まり、「仮名手本忠臣蔵」ではみんなが今日これぎりの気迫に溢れた大熱演、勘平とおかるの今このふたりにこれ以上はないって程のみずっぱなれは生涯忘れません。そしてラストを飾る「蜘蛛絲梓弦」の華やかな盛りあがり。心から拍手を送りたい舞台でした。

ありがとう祭り湯、そして浅草歌舞伎。長かった正月にようやくケリをつけ、ふくふくした気持ちでまた今宵も深夜作業。