こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

浅草でございます

新春浅草歌舞伎。勘太郎ちゃんが帰ってきました。嬉しい!しかし愛之助さんは大阪へ。寂しい…。今年の演目は、1部(11時から)が『鳴神(なるかみ)』と『仮名手本忠臣蔵(かなでほん・ちゅうしんぐら)』、2部(3時半から)が『仮名手本忠臣蔵』と『蜘蛛絲梓弦(くものいと・あずさのゆみはり)』。『仮名手本忠臣蔵』は長いお話のうちの五段目( 山崎街道鉄砲渡しの場/二つ玉の場)と六段目(与市兵衛内勘平腹切の場)。浅野の浪士のひとり早野勘平が、闇夜にいのししと間違って人を撃ち、さらにそれを舅と勘違いして切腹してしまうまで。1部と2部にこの同じ演目がかかるのは、勘平と女房おかるを中村屋のご兄弟、勘太郎ちゃんと七之助くんが役代わりで演じるからなのです。ちなみに「お年だま」といって、毎回お芝居が始まる前、役者さんたちが日替わりでご挨拶と演目の解説をしてくれるのですが、見た目を裏切るあぶなっかしさが売りの市川男女蔵(いちかわ・おめぞう)さんのご挨拶、本日は「1部では勘平を勘太郎さんでおかるを七之助さんが、2部では勘平を勘太郎さんでおかるを七之助さんが」…それだと役代わりしてないんだけどおめちゃん(笑)。ともあれ、ふた通りの五・六段目を体験できる浅草のお正月です。おかると勘平は若夫婦ですが、歌舞伎の場合どちらもよほど芸を積み重ねてからでないと演じきれない大役なので、こんなふうにリアルに若い人がつとめさせてもらえることは浅草ならではの大冒険。ふたりともがんばっていますねえ。クールにみえてハートは熱い七之助くんの勘平と、体はでっかいがけなげで優しい勘太郎ちゃんのおかる。大道具の木をなぎ倒すなど器物を破損するほどに超ホットかつナイーブな勘太郎ちゃんの勘平と、可憐ですっきりビューティホー奥様な七之助くんのおかる。そしていつもながらこのご兄弟が並ぶと起こる不思議な化学反応のプラスα。観る方が観たらもちろん「まだまだ、まだまだ」なんだと思いますが、今のこのふたりのおかる勘平は、今じゃなきゃ観られないわけです。幕はあいたばかりですから、これからさらに公会堂の温度はあがっていくでしょう。みなさまどうぞ浅草へ。それと、中村亀鶴さんが今年もまたいいんだなあ。「五十両〜」の定九郎もカッコいいが、死にそうな勘平をちゃんと気遣って一所懸命話しかけてくれる弥五郎が好きだわ。このナイスガイが実は絵文字大好き青年だとは、舞台からはとても想像がつかない…。 。