こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

蝉しぐれ

ぬぐってもぬぐっても汗がしたたり落ちてくる暑さや、たった障子一枚のすぐ外に白い雪が吹雪いているような寒さを、自分などはぜんぜん知らないんだとあらためて思い知った映画『蝉しぐれ』。大人になった文四郎(市川染五郎)とふく(木村佳乃)の再会の場面。よいようにぼかしてあったのも受け入れやすかったのかもしれません、すんなりと胸に流れて入ってきました。小説を読んだときには、なぜだかここがどうしても納得できなかったのです。ずっと思い続けた相手にようやく向きあえた場面だったのに、どうして素直にそれを応援できなかったのか、いまとなってはよくわからない。いじわるだったなあ自分。というか子供だったのかなあ。文四郎と、幼馴染みの逸平(ふかわりょう)、与之助(今田耕司)が、大人になるほどずっこけ三人組で微笑ましい。ふかわりょうがとてもよかった。途中までふかわくんだとわからなかった。子役の雰囲気からすると逸平と与之助が逆でもいいんじゃないかとも思ったんだけど、いずれにしても、とてもよかった。ちょっと驚いた。