こまりさんの、はらぺこ手帖

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

御園座

名古屋へ行ってきました。中村勘三郎襲名披露@御園座。襲名公演はどうにかして観に行こうと決めたからには行かねばなるまい、どんなに懐がさみしくとも…。
朝いちの『お国と五平』。まだ午前中なのに那須野ヶ原は夕暮れのうす暗さ。三津五郎さん演じる友之丞のあまりに見事なストーカーっぷりに、最初は「いいのかな、笑っていいのかな」と周りの様子をみていた客席が、途中からついに耐えきれず笑いの渦に。だけど怖い芝居だなあ。すぐ切れる、思い込む、なんでも人のせい。まるで今のニュースに次々登場する若者の象徴みたいです。口上をはさんで、次は勘三郎親子の『三人連獅子』。仔獅子兄弟の気迫のみごとなこと。見守る親獅子の視線の真剣で暖かいこと。当代中村屋のお家芸ここに極まれり、という感じです。『河内山』は、こんな河内山ありなのかと思うほどの仁左さん二枚目っぷり、たまりません。
夜は『白波五人男』の通し狂言、これがまた華やかでした。勘三郎@弁天、扇雀@赤星、橋之助@利平、三津五郎@南郷、仁左衛門@駄右衛門。「そんなら死にます」な役がすっかり板についた七之助くんの千寿姫だけれども、いままでの「死にます」嬢にくらべて千寿の立場は凛々しくて不憫だった気がしますね。有名すぎる「知らざあ言って」の濱松屋の場面では、宗之助坊っちゃん役の勘太郎くんがいつもの彼にしてはおとなしめに控えて父君の芝居をガン見していたのだが、そのあと奥座敷の場面で急展開。宗之助は実は駄右衛門の子だったとわかるや、目に涙をいっぱいため「お父さん、お父さん」。実の父親が千人の部下を抱える大泥棒だったのもびっくりだが、やっと会えたのにもうこれぎりなのかと必死にすがりつく心の動きが伝わってきます。一方、「え、親子ってマジかよ!」と呆気にとられて傍観していた勘三郎@菊之助も、こんどは自分が濱松屋主人の実の息子だとわかり、こちらも手をとりあって滂沱。歌舞伎特有のご都合主義連発でやはり会場は笑わずにはいられないのですが、それぞれにせいいっぱいの真実があり、胸にきてしまいました。

休憩のときに、積極的に商戦にはまって、特別カクテルを飲んでみました。グレナデンリキュール+オレンジジュース+レモンジュース、カクテルの名前は「中村屋」。旨し!