こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

亀ちゃんスイッチ

ルテアトル銀座で、佐久間良子さん主演の
『好色一代女』を拝見しました。
西鶴ものにジャズっていう発想はおもしろい。
花子の主題で
「レディ・イズ・ア・トランプ(Lady is a Tramp)」とか、
魁道中に
「ビッグ・スペンダー(Big Spender)」とか、
蹴鞠しながら
私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ballgame)」とか、
うそかほんとかわからなくなったところで
「ショウほど素敵な商売はない(There's No Business Like Show Business」とか、
そういう選曲もぴったりでした。


パンフレットのコメント覧で、


「もしあなたが好色庵の主になったら、
 お堂には何体の羅漢像が飾られますか」(=生涯の恋愛数)


という質問に佐久間さんが「一体」と答えていたのが感慨深く。
よかったねミッキー(平幹二郎さん)。
っていうかミッキーじゃなかったらどうしよう(笑)。


出演者でとくに印象に残ったのは、
市川亀次郎さんと山崎銀之丞さんです。


亀ちゃんの役は、もしかしたら花子は自分の母親では、
と思い訪ねてくる青年・忍。
歌舞伎や舞踊の舞台以外で亀ちゃんのお芝居を観るのは
はじめてだったのですが、
今回もやっぱり突然スイッチオン。
淡々→てっぺん。一気にあがるので、油断ができない。
ちょっと動くたびにすぐ着物のあちこちを微調整していたのが、
普段から和服を着ている人ならではでした。
2幕の人形振りでの本領発揮も楽しかったです。


銀之丞さんの役は、もしかしたら花子は自分の敵では、
と思い訪ねてくる侍・十郎。
あいかわらずみごとに腰の入ったリズム感です。
つか芝居で金ちゃん銀ちゃんを演じきってきた銀之丞さんですから、
そのリズム感と伝達力はもはや破壊的。
彼が舞台の上にいると観客としてとても頼ってしまう、
荒っぽい華のある人なのです。