こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

21グラム

そしてまだ背中痛いよ!


寝てると余計痛いってのはどうしたらいいんでしょう。
気を紛らしたら治るのではないかと思い、
ビデオで映画『21グラム』を観たら、
あまりに重くて骨に悪い…。


突然の交通事故で夫と幼いふたりの娘を亡くした主婦(ナオミ・ワッツ)、
事故を起こしたドライバー(ベニチオ・デル・トロ)、
死んだ男の心臓の移植を受けた男(ショーン・ペン)。


時間の流れが、逆行というわけでもなく
ばらばらに切り貼りしてあるので、
慣れるまですこし緊張します。


ひとつの心臓をめぐって絡み合う3人は、
表から見える暮らしはまるで違っても、
それぞれにどん底というものを体験し、
そこから抜けだせないでいます。


たとえばベニチオのまわりに漂う過去の暗さとか、
それを狂信的な宗教に没頭することでぬぐい去ろうとする姿とか、
いくらそうしても消せない粗暴な資質とか。
ラストでちょっとソーントンとハル・ベリーの『チョコレート』を
思い出したりもしたんだけれども、
ああいう「危なっかしくてもどうにか乗り越えていけそうな予感」ではなく
「…ほんとうに大丈夫ですかそれで」みたいな不安が残る終わり方です。


救いがあるといえばあるし、
ないといえばないような寂しい安堵感。
でもこれが世の中のデフォルトなのかもしれない。
なんてことは10年前にはたぶん思わなかっただろうと考えると、
人って年取るんだなあと思って
よけいに背中が痛くなった。