デューク大倉
野田秀樹演出「赤鬼」を観る。
人は、自分に近いものを食べるほど不健康になる。
いわゆる「ウミガメのスープ」なところからはじまり、
そこに帰着する。
恐くて哀しい物語だった。
イギリス版もタイ版も観てみたかったなあ。
ある日、ある浜に流れ着いた”赤鬼”。
異形のよそものに対する疎外、
コミュニケーションのための言語の獲得。
とんび「だって僕、嫌われる理由ないもん」
ある女「あるわよ。よそから来たっていうだけで、人は人を嫌えるの」
みたいな台詞が重かった。
ある女役の小西真奈美ちゃんは、
初めて観たときのままに素朴で美しくてタフ。
ある女の兄で少し足りないとんび役は野田さんご本人、
あいかわらず元気だなよなあ。
水銀(ミズガネ)役の大倉孝二さんは珍しく二枚目(半)キャラなのだが、
ときどき激しく大倉さん。
とにかく手足が長過ぎる。
スポーツジムで噂話に興じる主婦たちみたいになってしまうシーンがあるのだが、
そのとき両手をまっすぐ上に伸ばし、
くねくねと歩いてデューク更家と化していたあの姿は忘れ難い…。
そして赤鬼役のヨハネス・フラッシュバーグ氏。
すごい名前。
「ヨハネス」でいかにも外人という感じの風格を与え、
「フラッシュ」で目くらましをかけたのち、
最後「バーグ」で肉食感を醸し出している。みごとだ。