こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

椎の木のてっぺんで

水上勉さん、亡くなったんですね。


そういえば中学の時ちょっとだけいた演劇部で、
水上さんの「ブンナよ木からおりてこい」をやりました。
トノサマガエルの子・ブンナが、
お寺の境内にある椎の木に登り、
世の中のさだめを知って大きく成長していく物語
(その時は子ガエル1という役だった)。


それから15年以上たって、
ミュージカル学校の演劇クラスの課題でまたやった
(ちなみにそのときはブンナ役に出世)。


その演劇クラスの先生が青年座の方で、
杉並でやっていた「ブンナ」の劇団公演を観せてくださったのだが、
ちょうど客席に水上さんがいらっしゃっていました。


ご挨拶をと促されて立ち上がった水上さんは、
たぶん大きな病気をされたすぐあとだったのだろう、
「私のような者が生き永らえてしまって」みたいなことを
淡々とおっしゃった。
とてもとても寂しい感じがして、
だけども余計にそのあとの芝居に描かれた「命の連鎖」が
より理解できた気がしたのをよく覚えています。