こまりさんの、はらぺこ手帖。

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

いい塩梅

4月にWOWOWで生中継した
『オケピ!』のビデオを観てみました。
あらためて、すごい作品だなあと思った。


三谷さんの脚本ってのは、
何度も同じ会話が繰り返されてるうちに
状況がぐんぐん進んで行ったり勘違いが起こったり、
そこが最高におもしろいのですが、
演じるほうの役者さんたちは覚えるのがたいへんで、
あんまり似たやりとりを繰り返すものだから
うっかりすると、今どこをやっているのか
わからなくなっちゃうこともあるのだそうです。


ところで今回、小橋賢児くん演じる
西尾くん(今回だけピンチヒッターで参加した
パーカッションの学生さん、という役どころ)がとても印象的。
本番中だというのに演奏以外のことでバタバタな大人たち、
真剣に質問しているのに
「そんなの適当でいいよ!」と答えられて大ショック。
プチ切れしてるうちに結局シンバルのタイミングをはずして
凹んじゃう、という。
小橋さんの初々しさが
一所懸命な西尾くん像と重なって、胸を打つんですね。


しかしラストに近づくにつれて若者は、
身勝手で文句ばかりで
夢もへったくれもないとヤツらだと思ったその大人たちが、
実は、確固たる誇りを持った
立派な「音楽家」であることを知るわけです。

理想的とは言い難いけど、捨てたもんじゃない職場。

人生には、
このくらいの塩梅がちょうどいい。