こまりさんの、はらぺこ手帖

なんでもないようなことが、しあわせなんだとおもう。

美容師さん

「あの〜私この近くの美容院の者なんですけど」


大通りで声をかけられました。


美容師さんに限らず
こうやって声をかけられる
さまざまなシチュエーションにおいての
スマートな対応って
どうしたらいいんでしょうか。


無視するのは失礼だし、
丁寧に対応しすぎても、思いがけず逆切れされて
バカをみたときの悔しさといったらない。


「わたしはこの理由でどうしても
 あなたの申し出を受けることができない、
 けれどもあなたの仕事、そして生き方については
 同じ働く人間として応援しているので
 頑張ってください」


というようなニュアンスを
簡潔な言葉と表情で伝え、
風のように去ってみたい、いつか。


さて、相手が美容師さんの場合、
だいたいがカットモデルかカラーリングモデルのスカウトです。
モデルといってもぶっちゃけ
新人美容師さんの練習台なわけなので、
お金はかからない分、
長時間拘束、疲労、想像を越えた出来上がりなど、
ハイリスク・ローリターンな取り引き。


冒険心のない私は腰がひけてしまうので、
たいてい「ほかのお店に行っていますので…」と
答えるようにしていますが、
これだと「そうですか、でもたまには変えてみませんかー」と会話が続いて
結局50メートルくらい
並んで歩いてしまうことがあります。
そこで、今日はもうすこし
「決まった人に切ってもらってる感」を強調しようと思い、


「いつも友達に頼んでるので…」


と言ってみました。


すると、その美容師(見習い)さんは
ちょっとびっくりしたあと、
服装とメイクの割に素朴な表情を曇らせて


「…ごめんなさい、それじゃ、裏切れないですよね」



失敗した。



彼女は、仕事の修行のかたわら、
友達の髪を切ってあげたりしているのかもしれない。
そんななかで、
なにかしら凹む体験をしたことがあるのかもしれない。


「裏切る」という大袈裟な単語の背景に、
都会で孤独に耐えて頑張る青春像という妄想が広がりに広がり、
なんだかいつもに増して
罪悪感を抱える羽目になってしまいました。


ウソついてごめんよ若者。
どうかどうか、立派な美容師さんになってね。